トランプ氏のTPP離脱発言に対する日本の対応に思う

Last-modified: Wed, 07 Nov 2018 16:08:12 JST (2019d)
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 日本民進党の蓮舫氏は、米次期大統領のトランプ氏が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱発言をしているのに、日本の国会は貴重な人材と税金を使ってTPPについて審議することを中止すべきであると特別委員会で述べているそうである。
 次期大統領とは言え、現時点で大統領でもないトランプ氏の非公式な発言に日本の国会が左右されるべきではない。 蓮舫氏は、安倍政権のしていることを何でも反対したいのだろうが、あまりにも日本の主権を放棄した発言であり、日本民進党に対して哀れさを感じてしまった。 やはり、茶番と言われても仕方がないのかもしれない。

 とは言え、トランプ氏の発言は影響力の大きいものであり、日本としては、速やかに適格な対応の見直しを迫られるものであると思慮している。
 TPPは、国際間での自由経済を目指したもので、大きくは次の目的があると認識している。
・多国間で自由経済を推進することによって、各国が経済的繁栄を目指す。
・自由経済を目指す多国間で協力して、反自由経済国家に対抗する。

 トランプ氏としては、多国を相手にして協議するより、一国ごとに協議した方が、米国経済にとって有利であると判断したのだろう。 また、中国など反自由経済国家に対しても、一国で対応した方が効果的に十分対抗できるとの考えによるものと思慮する。

 オバマ大統領やクリントン氏の民主党政権であれば、中国が反自由経済国家であることの認識が希薄である可能性があるので、自由経済推進にとって米国のTPP参加は必須だった。

 しかし、自由経済を標榜しているトランプ氏の共和党政権であれば、TPPの参加・不参加は、それほど大きな問題ではないと思慮する。 米国を抜いてもTPP参加国の経済規模は1000兆円を超す。 日本は、仮に米国が抜けたとしてもTPPを推進すべきであると思慮する。

 TPPに限らず、連携協定というものは、規模の大きい方が影響力も大きく有利である。 しかし、参加数が多くなれば、まとめるのに苦労し、協定内容が矮小化される傾向にある。 そのため、その連携協定に応じた適性規模というものが発生してくる。

 米国が抜けた場合は、これを契機として日本には、TPPでリーダーシップをとって取りまとめ、環太平洋での自由経済を構築してほしい。 その場合、米国が加入していたことにより歪められていた協定内容があったとすれば、それも含めて改めて良い方向に見直しを掛ける必要も出てくると思慮する。

 TPP加盟国は、必要に応じて米国に対して団体交渉をすることも可能だろう。 反自由経済国家に対しては、米国と連携し、経済的に対抗していけば良いのではと思慮する。 そのためには、日本は、いつまでも米国に追随していくだけの国際戦略を終わりにし、米国に環太平洋経済を一任されたというぐらいの認識で外交戦略を考えて欲しいものである。

 敗戦国日本が、独立国になるための、ひとつのきっかけを、トランプ氏が与えてくれているのではと思慮する。 日本政府には、日本民進党など野党やマスコミに振り回されることなく、適正な道を確実に選択していくことを望む。


―2016.11.27―