元横綱日馬富士暴行事件での評議員会の発表について

Last-modified: Sun, 21 Oct 2018 14:50:05 JST (2036d)
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 2018年1月4日、元横綱日馬富士暴行事件で、日本相撲協会は臨時評議員会を開き、貴乃花親方の理事解任決議を全会一致で承認し、2階級降格処分が決定したそうである。 また、来月予定されている理事選に貴乃花親方が当選した場合は、評議員会としては粛々と承認するかどうかを決めていくそうである。 貴乃花親方(理事)が、理事長など相撲協会に対して礼を失していることが降格の理由だそうである。

 貴乃花親方がそのような対応をせねばならなかったのには、何らかのそれなりの理由というか、背景があったのではと、普通推測する。 評議員会はこれについてどのような見解を持っているのだろうか。 理事クラスの対応がうまくいっていないとして罰するのであれば、評議員会は自ら双方の意見を聴取して判断する必要があると思われる。 理事長側の一方的な意見聴取のみで、貴乃花親方への聴取をせずに判断したのではと懸念するのだがいかがだろうか。 池坊評議員議長は、まだ事件の状況がはっきりしていない当初から貴乃花親方の行動に批判的だったように見受けた。 その根拠を知らないが、元々、この評議員会はフェアではなかったように見えてしまう。
 外部有識者4名のうち半分の2名が欠席だったとも聞く。 委任状の有無を知らないが、評議員会の開催が妥当だったのかが疑問視される。 欠席の2名の方は、実は全会一致の場に出席するのを避けたかったのではないかと勘ぐってしまう。

 高野危機管理調査委員長からも、貴乃花親方に対して警察に相談する前に協会に報告すべきだったという主旨の発言があったと記憶している。 協会への報告と警察への相談の順序がそれほど大きな意味を持つのだろうか。 診察が最優先だとして、警察に相談して協会に報告がないのはいかがなものかとは思うが、その順序は状況によって変わりうるものではないだろうか。 危機管理調査委員会のいう「危機」とは、協会の危機ではなく、理事長や評議員会議長の危機と勘違いしているのではないだろうか。

 以前、日本では「公益通報者保護法」で内部通報者がほとんど保護されないと述べたが、これほど堂々と無視されるのも凄いとしか言いようがない。 このような危機管理調査委員会や評議員会、理事長の元では、協会内の問題点が改善されるとは到底思えない。 ついでに言ってしまうと、御用記者にしか見えない東京相撲記者クラブ会友もしっかり報道等していただきたい。

 部外者に知らせる必要のないことなのかもしれないが、元横綱日馬富士が加害者であることを自白し、貴ノ岩関が被害者だと証言しているからそれで良い、という考え方も理解できない。 貴ノ岩暴行事件の全容は、それで明確になったと言えるのだろうか。
・加害者と被害者は間違いないのか
  誰かの身代わりになっているということはないのか
  他に共犯者はいないのか
  他に被害者はいないのか
・日馬富士がなぜ暴行に及んでしまったのか
  誰かの命令で仕方なくということはなかったのか
  貴ノ岩関にまったく非はなかったのか
・日馬富士が暴行している間、他の者は何をしていたのか
  自分たちの気が済むまで暴行を傍観していたのではないのか
  どうして日馬富士を止めることができなかったのか
  日馬富士の暴行を煽ったりしていなかったのか
・初場所に貴ノ岩が休場するのはなぜか
  肉体的に相撲を取れない状態なのか
  精神的に土俵に上がれない状態なのか
  マスコミなどから避けるために出場できないのか

 貴ノ岩は誰に暴行を受けたのかよく分からないとも聞く。
・後ろからいきなり暴行されたのか
・加害者への遠慮か
・加害者が複数いたのではないか
・頭部殴打により記憶を失っているのか
 数十秒間の暴行であれば、仮に見えないとしても、誰かが「やめろ!日馬富士」などと叫んでいてもよいと思うが、それもなかったのだろうか。

 来月の貴乃花親方の理事選当選の場合、粛々と対応するとの評議員会議長発言についてだが、どのような意味だろう。 記者から質問されたので、深く考えずに肯定も否定もせず、それなりに対応すると答えただけだと推察するが、深読みすると幾つか想像される。
・理事会に出ることは自由である
 (評議員会議長としては、責任ある否定発言はしたくない)
・当選したあとのことは、理事会側で何か対応してくれるだろう
 (評議員会に責任を投げないでほしい)
・今後も騒ぎを起こすようなら承認しないぞ
 (反省の色を見せてから、出馬してほしい)

 日馬富士は横綱である、そのうえ、暴行事件は巡業中の私的な宴会の席で発生している。 そのような暴行事件に対して、伊勢ケ浜親方は降格までして謝罪する必要があったのだろうか。 理事長たちが、両親方に責任を押しつけて収束を測ろうとしているように見えて仕方がない。

 話題がそれるが、横綱審議委員会は白鵬の取り口に対して苦言をしていた。 白鵬のあのような取り口は、かなり以前からだと認識しているが、なぜ今頃になっての苦言なのだろう。 仮に、白鵬が今後もあのような取り口を続けた場合、横綱審議委員会はどのような対応を取るのだろうか。 あの苦言は、委員会お得意の無責任な感想でしかないのだろうか。

 やくみつる氏が、横綱白鵬は日本相撲協会を辞めて、新団体を設立してはどうかと発言したそうだ。 この意見には賛成である。 これは、白鵬関を非難したいわけではない。 公益財団法人日本相撲協会の横綱としては相応しくないのではと言っているだけである。 そして、白鵬関や元朝青龍たちであれば、十分に新団体を設立して良好な興行実績を上げることができると思うからだ。 可能であれば、互いの交流試合をしても良いとも思う。

 これによって、日本相撲協会も真剣に内部改革を行わざるおう得なくなるのではないだろうか。 現理事長は、横綱白鵬の取り口に疑問を持ちながらも現状を維持するために、横綱白鵬人気に寄生しようとしているのではないだろうか。 貴乃花親方が何をしようとしているのかは知らないが、理事会は現状維持を目的化させないでいただきたい。 暴力や賭博さえなければ良いというものではないと思う。
 もっと外部に開かれた国技としての相撲協会であって欲しいと期待する。


―2018.1.6―