参議院議員の定数配分問題について

Last-modified: Tue, 01 Jan 2019 23:01:56 JST (1964d)
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国会議員が参議院なり衆議院の定数配分を是正するのは、人情としてかなり厳しいものがあると想像されるが、以下、下記論点で考えてみる。
(1)参議院議員の意味
(2)1票の格差
(3)定数配分と選定方法案

1.参議院議員の意味
 衆議院のカーボンコピーだとか、衆議院とのねじれ国会とか言われ、参議院は存在悪のようになっている。
 参議院が必要ないものであれば廃止すれば良いのだが、憲法でも規定されており、維持を前提として考えるとすれば、参議院の意味を原点から考え直す必要があると思慮する。
 また、上記のような批判がなされないような「良識の府」としての参議院を目指すためには、選任の手法を衆議院と別の方法を採用する必要があると思慮する。
 すなわち、政党を主体とした立候補者を選挙により選出するという仕組みを変える必要がある。
 例えば、「天皇・皇族」、「大企業経営者」や「ビッグアーティスト」等から構成するという方法もあるが、憲法では差別のない選挙による選出となっているので、そのようなわけにもいかない。

2.1票の格差
 選挙民の1票の格差があってはいけないと別に規定されているわけでもないが、現在の選挙区の区画基準として、格差の少ない区画を選定しているという前提があるので、これが問題になってくると思慮する。
 この手法の場合、全国の人口の増減移動がある都度、ダイナミックな区画変更が必要になってくる。
 これを避けるためには、県をまたぐような大きな選挙区を設定し、当該選挙区の選挙民の数の比例配分で選挙区の定員数を議員の関与を排除した自動的な配分ルールで決めればよい。
 または、選挙区を全国、すなわちすべてを全国区にしてしまえば、これらの問題は簡単に解決してしまう。

 他の方法としては、現在のような1票の格差が最小になるような選挙区画の選定方法をとらない(放棄する)ことである。
 いずれにせよ、1票の格差が問題になる都度、選挙区や定数等の是正を国会議員に委ねるのはナンセンスであると思慮する。

3.定数配分と選定方法案
 各都道府県を選挙区とし、最小2名(3年ごとに1名)の定員として、プラス分(不足分)をその時点の選挙民数の比例配分により定数を都度自動的に決定すればよいと思慮する。
 
 また、被選挙民は、過去の自治体の組長(知事や市長など)に限定し、過去の経歴等を文書やホームページのような静的掲載物の一定期間の掲示に限定し、いわゆる選挙運動をしないことを提案したい。
 全国区として、総理大臣や衆議院議長などの経験者を被選挙民としても良いかもしれない。

 衆議院議員選挙のような選挙運動を許してしまうと、結局、動員力として政党等の関与を許してしまい、衆議院のカーボンコピーになってしまうと思慮する。
 当人の意思を無視して被選挙人とするのかなど検討課題は多々あるとは考えられるが、人種差別のない、ある程度政治に造詣のある人材として他に浮かばなかったためである。
 また、都道府県を選挙区としたのは、特に選挙運動を行わない手法を採用した場合は、多くの選挙民は都道府県内に限定したほうが良いと思慮したからである。
 もちろん、東京都のような大きなところは選挙区を分割しても良いかもしれない。

 衆議院議員が決議した事案を地方組長がチェックするというのは、ある種逆転現象のような気もするが、数多くの組長から選出された人材であり、しかも各自数票の議決権しかないので、全体としては、国民の総意に近づき、現状の「カーボンコピー問題」や「ねじれ問題」は改善されるのではと思慮する。
 そして、これ以上の改革は、憲法改正に委ねることになると思慮している。


―2014.6.30―