日本郵便の1月2日の年賀状配達の取りやめに思う

Last-modified: Wed, 07 Nov 2018 16:19:30 JST (2019d)
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 日本郵便が2017年から1月2日の年賀状の配達を取りやめるそうだ。
 廃止の主な理由は、次のようなものらしい。
 ・株式上場により、収益向上を求められているから
  (これにより10億円の原価削減の見通し)
 ・年賀状の取扱い数が大幅に減少しているから
 ・2日の年賀状の取扱い数が他の日より少ないから
 ・アルバイト社員の確保が難しいから

 自身年賀状を出していないので、意見を言う資格がないのかもしれないが、日本郵便の経営感覚に違和感を感じた。

1.収益の向上
 上場したから収益の向上を目指すという発想にも首をかしげるが、収益を上げるために原価を削減するという発想が理解できない。 一般に、収益を上げる方法としては、利益率をそれほど下げずに売上を拡大する方法と、売上をそれほど落とさずに利益率を向上させる方法とがある。 その他に、売上向上と利益率向上の両方を同時に行う方法もあるだろう。

 「2日の配達」を取りやめれば原価が削減されることは一応理解できるとして、それにより、サービスが低下し、より年賀状の取扱い数(売上)が減ったりしないのだろうか。 「2日の配達」は郵政民営化に向けてのサービス向上のために始まったものと理解していたが、株式上場により廃止されるというのが理解できない。

 サービスを低下させても売上が減少しない、サービスを上げるためには原価増が当然、という官僚のような発想が未だに残っているのではないかが気になる。
 (例、財務省の消費税率アップによる税収増計画。)

2.年賀状取扱数の減少
 年賀状の取扱数の減少により、1日にすべての配達ができるようになったため、「2日の配達」の必要がなくなったというのであれば理解できる。 単に減少したからという理由だけで、配達しないという発想が理解できない。

 「2日の配達」の必要のない地域は配達しなければよいのであり、会社として一律配達しないと宣言するのが、いかにも官僚的ではないだろうか。
 (例、金融庁による、金融機関への横並び指導。)

3.「2日の配達」が少ない
 2016年では、1日が85・7%、2日が7・5%、3日が6・8%だそうである。 「3日の配達」を取りやめる方が、まだ理解できる。
 都合の悪い数字を伏せて、結論を誤魔化す習性が官僚的ではないだろうか。
 (例、東京オリンピックの建設費用見積が、事情の変化によって簡単に増減。)

4.アルバイト社員の確保難
 「2日の配達」の有無が、アルバイト社員確保にどれほど関係があるのかは分からないが、アルバイト社員確保ができないとして、「2日の配達」はアルバイト社員以外で対応すれば済むことではないだろうか。 自分たちは通常通り仕事をし、それ以上の仕事はすべて外部にさせようとしているとすれば、あまりにも官僚的ではないだろうか。
 (例、社会保険庁の年金問題に対する、外部へのアウトソース策やアルバイト社員の雇用策。)

 官僚的という表現を多用しすぎたが、これは官僚に対して非常に失礼な表現であり、官僚の方々も日々進化・改革しておられる。 日本郵便の内情を知らずにコメントするのは僭越かもしれないが、日本郵政グループのみが時代に取り残されたりしないかを懸念する。

 通常、実務をしない管理職も、年賀状の期間中だけでも実務協力をするような体制を取ったりしているのだろうか。
 日本全地域で、地域間の作業量調整による相互協力体制を取ったりしているのだろうか。
 繁忙期とそうでない時期とで休日振替等の期間調整をしているのだろうか。

 これらの一般企業では当たり前の改善努力が、日本郵便でもなされているのであればよいのだが、その努力もなしに「1月2日の年賀状配達取りやめ」の経営判断がなされているのであれば、第三者の余計なお世話ではあるが非常に寂しい話である。


―2016.11.5―