日産自動車ゴーン氏について思う

Last-modified: Fri, 23 Nov 2018 23:02:51 JST (2003d)
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 2018年11月19日、日産自動車のゴーン会長が、自らの5年間の報酬を半分の約50億円に過少申告していた疑いで、ケリー代表取締役と共に東京地検特捜部に逮捕された。

 ゴーン氏は、日産自動車をV字回復させた救世主であることを否定するつもりはないが、容疑者になった現在でも経営者として、10億円、20億円の報酬をもらうのは当然で、他に代替不可能な有能な経営者であるかのような評論家の評価に強い違和感を持つ。 ゴーン氏が有能な経営者であることを否定しないが、前任の経営者があまりにも無能だったので、相対的に特別有能に見えるというだけの話ではないか。

 これはゴーン氏に教えてもらったことだが、前任の経営者たちは、誰がやってもうまくいくと言われたバブル時代に放漫経営をしていて、周りに嫌われてもコストカットするだけの決断力というか勇気もないので放漫経営の後始末もできず、それほど自社の車への愛着もなく、他社のグローバル経営者との交渉力もなく、ただ優秀な社員だったから経営者になったというだけの、カリスマ性もない経営者には不向きな人材ばかりだったようであり、ゴーン氏は何らしがらみもなく、ただそれらをちょっと持っていただけの経営者ではなかったのか。

 ゴーン氏は、1999年、来日当時「(黒字化できなければ)取締役全員が辞任する。 失敗すれば(私は)去る。 信頼できる経営とはそういうものだ」などとカッコつけていたようだが、結果としてたまたま黒字化したので、この言葉が真実だったかどうかは分からずじまいだった。 しかし、V字回復後もなぜか日産自動車のトップに居座り続け、2009年に赤字を出したり、2014年に業績が低迷したり、2017年、2018年と続けて検査の不正が発見されても自ら何の対応もせず、辞めることもなく居座り続け、醜態をさらしてきた経営者だ。

 日産自動車のV字回復にしても、ルノーの力を借りず、自力で回復したというのであれば、まだ評価できるが、ルノーの依存度が増したというのであれば、日産自動車側の視点から見れば有能な経営者と果たして言えるのだろうか。

 ビルゲイツ氏などがそうであるように、高額所得者は、その所得を有意義な形で
地域社会に貢献するのが一般的だが、ゴーン氏は、日本国内各地で自慢話はしたかもしれないが、地域貢献をしたという話を聞かない。

 ゴーン氏は、両親がレバノン人で、本人はブラジル生まれで、子供時代はブラジルとレバノンで育ち、青年になってからはフランスで育ち、グローバル経営者と言えば聞こえはいいが、日本人でないということだけがはっきりしており、日本では二重国籍であることが問題になっているが、ゴーン氏はどこの国籍かも分からない人物で、彼が仮に地域貢献をするとしても、レバノン、ブラジルかフランスであり、日本に貢献しようとしないのは当然なのかもしれない。 宗教を信じない人は信用されないと言われたりするが、明確な国籍を持たないコウモリのような者も信用できない。
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 そのような経営者に、日産自動車の役員たちや評論家たちが当然のように、どっぷりと依存しているとしたら、人がいいというか、情けない話ではないだろうか。 トヨタやホンダなど、個人名を冠している会社が外国に買われるならまだしも、日本産業とか三菱とかを冠した会社が外国に買われても何も感じないということに、「親方日の丸」というか「ゆでガエル」を感じてしまうというのは言い過ぎだろうか。

 ゴーン氏が多額の報酬を受けていたことと、有価証券報告書の役員報酬蘭に虚偽記載をしていたこととは分けて考える必要がある。 ただ、業績を上げたことが評価されたことで高額報酬を得る権利があるというなら、業績が上がらなかったら報酬が下がるとか、赤字に転落したら報酬がなくなるなり、ペナルティを支払うなりしてほしいと言いたくなる。

 スポーツ選手の年俸制と同様、株主総会で前年度業績報告のときに、業績に応じて次年度役員報酬を上げるか下げるかを決めるのだが、欧米並みに高額報酬を得ながら、日本並みに業績と直接連動させず一定の報酬を得ようというのはいかがなものだろうか。

 日産自動車は日本の会社であるとして、今からでも日産自動車の経営者はもちろん、自立で立ち直れるように頑張ってほしいが、ルノーのバックにはフランス政府がいるそうなので、民間起業の問題ではあるが日本政府も積極的に協力すべきだ。
 これで、日産自動車が自力で走れるようになれば、雨降って地固まることになるのだが。

主な参考
・日産ゴーン逮捕、不正報酬分の50億円あれば社員8千人の解雇は不要だったとの指摘も
・元日産自動車取締役・奥野信亮氏インタビュー
「ゴーンは自分さえ稼げばよい」「イエスマンだけ残り、ガバナンスに問題」

 

―2018.11.23―