東京オリンピックのエンブレム撤回表明について想う

Last-modified: Mon, 24 Dec 2018 16:57:29 JST (1972d)
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 ベルギーの劇場ロゴと似ているなどと指摘されている2020年東京五輪のエンブレムが見直されることになったと大会組織委員会の事務総長が記者会見した。
 今回も新国立競技場問題に続き、不透明というか後味の悪い見直し発表だった。

 認識している経緯を以下簡単に列挙する。
(1)大会エンブレムとして佐野研二郎氏のデザインが採用されると発表。
(2)ベルギーのリエージュ劇場のロゴのデザイナー側が著作権の侵害として、IOCに使用差し止め等を求めて提訴。
(3)佐野氏は、当該エンブレムは独自の作品であるとし、盗用を否定。
(4)この間、東京オリンピック関連以外での佐野氏盗作疑惑が多発し、佐野氏は一部それを認めるが、当該エンブレムについては再度否定。
(5)組織委は、佐野氏の応募原案が他商標との類似疑惑を払しょくするために若干の修正を加えて最新案としたなどの経緯を説明し、デザインのオリジナリティを主張。
(6)この組織委が行った説明のなかにも幾つかの新たな盗用が指摘。
(7)オリンピックに悪影響を及ぼしたくないのでデザインを取り下げたいとの佐野氏からの意向を受けて、組織委として取り下げることを決定した旨、事務総長より発表。

 この組織委の対応は、典型的な日本官僚のやり方のような気がする。
 一連の話としてはある意味、筋が通っているような気もするが、素朴な疑問点が多々あり、スッキリしない記者会見だった。

 佐野氏の取り下げ要望を受けての撤回とのことだが、仮に佐野氏がエンブレムの取り下げをしなかったら、組織委はどうしていたのだろうか。 よくある、大臣の辞職と同じような結末である。 組織委から佐野氏への取下げ圧力があったのではとの疑惑が払しょくできない。 これで、大会エンブレム問題の終了を図ろうとするのであれば、いただけない。

 今後、ベルギーの劇場側が提訴を取りやめないとしたら、提訴の行方はどのように推移していくのだろうか。 大会エンブレムが既に使用されているので、劇場側が提訴を取り下げない限り、無視することはできないと思慮する。

 佐野氏の応募原案に他商標との類似疑惑のリスクがあると認識した時点で、なぜ大会エンブレムの採用対象から除外されなかったのだろうか。 商標権の侵害や盗作疑惑というより、大会エンブレムの独自性が損なわれているとの評価は出なかったのだろうか。 組織委はこれをもって盗作疑惑を否定したとの認識かもしれないが、外部の者に対して発表過程の不透明さを印象付けた結果となった。

 結局、今回も税金の無駄遣いになったと思われるが、その責任者が誰なのかは今回もうやむやにされるのだろうか。 撤回の記者会見を代表が出席せず事務総長に任せたのは、すべての責任を佐野氏に押しつけ、組織委は無関係を装うためなのだろうか。

 ところで、招致活動でのロゴは大会エンブレムとして使用できないそうだが、大会エンブレムの応募者条件のハードルは高く、招致活動ロゴのデザイナーには応募者権がなかったそうである。 官僚独特のブランド志向が働いた結果が、この結末だとすればお粗末である。

 新国立競技場問題と今回との見直し推移の決定的な違いは、該当デザイナーが外国人か日本人かの違いであるような気がするのは考え過ぎだろうか。
 そして、共通点は責任者の不在と選定経緯の不透明さだと感じる。
 悪者捜しや責任者の処罰要望もないわけではないが、今回の推移を反省し、今後の再発防止に是非活かしていただきたいものである。

 ちなみに、本投稿に限らず我がサイト全体は他サイト等の無断切り貼りで構成されている。 これは可能な限り個人的な表現を排除したいとの狙いであり、我がサイトのオリジナリティは議論の切り口と論理展開だと認識している。
 ただ、これについても純粋に独自性があるかどうかの確認は行っていない。 仮に、似たような議論の切り口と論理展開があるようであれば、賛同者として嬉しく思うし、必要があれば当方が投稿を取り下げることについて何らやぶさかではない。


―2015.9.2―