甘利前大臣の金銭授受問題に思う

Last-modified: Thu, 08 Nov 2018 16:14:22 JST (2018d)
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 『「黒い金」ランキング!甘利氏、辞任までの舞台裏 疑惑の相場から見える「カネの裏面史」 』?で『甘利氏金銭授受問題の「罠」説』を否定する記載が目に入った。 たまたま、周りに『ホリエモン、ベッキー不倫騒動に「一番えげつないのは文春」 』?が記載されていた。 前者には、なぜ「罠」でないと考えるかの説明があったが、後者には、どう「えげつない」かの説明がまったくなかった。

  しかし、前者の説明にはまったく説得力がなく、後者には納得してしまった。 これは、読者の先入観からくるものもあると思うし、紙面の制約上、説得力のある説明をしきれなかったことにもよるのかもしれない。 ただ、このような一見もっともなようで論理的でない説明で済ませて、ものごとを片付けようとすることが、「文春」の周りでまかり通っているとすれば、非常に危険なことであると感じた。

 ここで、甘利明前経済財政・再生相の金銭授受問題等を正当化しようとする気はまったくない。 仮に、甘利氏にまったく悪意がなく、これがすべて「罠」であったとしても、少なくとも甘利氏の脇が甘かったという罪を否定できるものではない。

 また、安倍政権にとって、甘利氏の辞任は大きな痛手のようである。 安倍総理の任命責任を責める声もあり、総理自身も任命責任を感じていると言っているようである。 とはいえ、安倍総理は本当にこの件についてどこまで反省しているのだろうか。

 従来は自由民主党には強固な派閥というものがあり、そこで各政治家へのきめの細かい指導・育成が行われていたようである。 しかし、小選挙区制になったころからは、派閥内の絆が徐々に弱体化し、政治家やその秘書たちへの指導・育成がおろそかになってきているのではないだろうか。

 また近年、金銭処理等、社会からのコンプライアンスの要請は日々高くなってきている。 真剣に国政を考え、それに没頭している政治家がそれによって、秘書への管理・指導がおろそかになってしまっていたとすれば、あまりに不幸なことである。

 本来政治家は、自己責任で秘書の育成も含めて、コンプライアンスを維持してくのが基本だと思う。 しかし、今の政権与党には、政治家の自己責任としてコンプライアンスを維持していくには限界があるのではないだろうか。 現実問題として、一部の政治家の問題によって、時の政権基盤が崩れるということは、リスク管理上、大きな問題である。

 政権を志す政党であれば、そこに重大なリスクがある以上、一般企業同様に党としてのコンプライアンス維持にそれなりの努力をする必要があるのではないだろうか。 大臣就任時に身体検査をしているだけだとは思わないが、もう少し、党としてコンプライアンスに関する指導や内部監査を強化する必要があるのではないだろうか。

 一般企業においても、内部監査制度を運用する場合には、執行役員等の抵抗があるものである。 まして、プライドの高い政治家に対して内部監査を行うということは非常に難しいとは推察されるが、ぜひ党総裁の強いリーダーシップで実施していただきたい。

 自由民主党にしかこの国を任せることができない現状において、コンプライアンス維持等のリスク管理を党としてしっかりしていただくことは、日本のリスク軽減にとっても必須であると思慮する。


―2016.1.31―