米南部連合軍将軍像撤去とトランプ大統領批判に思う

Last-modified: Sun, 21 Oct 2018 14:34:19 JST (2036d)
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 トランプ大統領が南部連合(CSA)軍のロバート・E・リー将軍やストーンウォール・ジャクソン将軍などの像の撤去に関連して、各方面から批難を受けている。 トランプ大統領に対する報道メディア等からの批判は今に始まったことではないが、今回は趣が異なるようである。

 おおよそ次の発言により、トランプ大統領が人種差別主義者であると解釈され非難されているものと理解している。
・将軍像の撤去を非難した
・将軍像撤去の反対派と支持派の双方のデモ隊を同列に非難した

将軍像の撤去について
 米世論調査でも約6割が将軍像の存続を支持しており、回答者をアフリカ系米国人に限定しても、支持者と反対者とはほぼ同程度であるという。 トランプ大統領だけが米国民の世論に反しているわけではない。 また、リー将軍やジャクソン将軍は、南部連合軍の将軍として戦っただけであり、人種差別主義者ではない。

 米南北戦争というのは、形式的には南部連合軍の独立戦争であり、現在のアメリカ合衆国ができるための産みの苦しみの一つだったのではないかと思慮している。 南部連合軍は保護貿易ではなく自由貿易などを主張し、合衆国軍は奴隷労働ではなく自由労働などを主張し、合衆国軍が勝ったので奴隷労働が強調されているのだと理解している。

 日本で言えば、明治政府からの独立戦争という観点では、箱館戦争や西南戦争などがある。 日本統一のための産みの苦しみという観点では、関ヶ原の戦いなどがある。 日本では、箱館戦争の榎本武揚、西南戦争の西郷隆盛や関ヶ原の戦いの石田三成のそれぞれの像を撤去しようなどという話題は聞いたことがない。

双方同列批難について
 トランプ大統領は、反対派と支持派の衝突による暴力行為に対して、非難をしているのであって、人種差別主義者を擁護しているわけではない。 アメリカ国民の約6割が撤去に反対し、そのほんの一部の者がデモに参加し、支持派と衝突した。 そして、その反対派の一部に人種差別主義者がおり、一人が自動車で殺人を犯したというのが事実だとして、反対派・支持派の双方を非難することが人種差別主義者のレッテルを貼られる理由としては飛躍しすぎてはいないだろうか。

 ここで非難しているのは、デモの仕方や暴力行為であり、デモの主張や背景ではない。 言外に、撤去支持者は何をしても許されるという前提がないだろうか。 日本には、喧嘩両成敗という言葉があるが、報道メディアは事あるごとにトランプ大統領を理不尽な批判をしているだけではないのだろうか。

 米国民はもちろん、世界の人々は、報道メディアに惑わされることなく冷静にトランプ大統領の行動、発言を視ていく必要があると思慮する。 日本の男女差別撤廃支持者のなかに、女性優遇という逆差別推進者が潜んでいる。 米国でも、人種差別撤廃支持者のなかに、有色人種優遇などの逆差別者が潜んではいないだろうか。
 白人の潜在意識として、どうしても人種差別を排除できないので、逆差別をすることによってバランスを取っているのだという開き直った話を聞いたことがある。 これが事実だとは思わないが、そうであれば問題ではないだろうか。

 トランプ大統領がパンドラの箱を開けたとの表現で非難する評論家も一部いた。 パンドラの箱の存在有無や開けることの是非にも議論の余地があると思慮するが、パンドラの箱を開けたのは将軍像を撤去することを決定した政治家たちではないだろうか。

 人種差別をことさら肯定するつもりもないし、米国が滅びることを望んでいるわけでもないが、現大統領を非難してまで人種差別を論じるという純粋な人種差別主義反対派というのであれば、米国がアメリカ大陸の原住民の犠牲の上に存在していることから見つめ直す必要があると思慮する。
 その人種差別の延長線上で、先の太平洋戦争において米国は東アジアに侵略を試み、日本はそれを阻止しようとして戦ったことを問題にすべきではないだろうか。 その一連の人種差別の象徴が日本への原子爆弾投下であることを認める必要があると思慮する。
 米国が歴史の浅い国であることは仕方のないことだが、歴史を軽視するのは止めた方が良いと思慮する。

 本サイトは、日本のメディア報道の暴走を抑止することを狙って立ち上げたものだが、今回は米国のメディア報道批判を含んだものになった。 日本の歴史・文化に詳しいわけではないが、それ以上に米国の歴史・文化に詳しくない。 本サイトの批判は常に喜んで受け入れるつもりではいるが、本投稿は米国にとって非常にセンシティブなテーマであることを踏まえての投稿であり、冷静な気持ちで事実を直視して読んでいただければ幸いである。

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