米朝会談の評価に思う

Last-modified: Sun, 21 Oct 2018 14:57:13 JST (2036d)
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 2018年6月12日に米朝首脳会談が行われた。 休戦状態である両国の初めての会談であり、それほど詳細な内容を期待する必要もなく、まずは基本的な合意があればそれで良しとしても良いのではないだろうか。

1.朝鮮半島の完全な非核化
 具体的な話がないという批判もあるようだが、「朝鮮半島の完全な非核化」というゴールが示され、今後はできるだけ早期に、両国の代表が協議すると言っているのだから、それで良しとしていいのではと思慮する。 協議を開始したら、経済制裁解除すると約束しているのであれば、問題かもしれないが、非核化が行われた時点で制裁解除するわけだから問題ない。 これからどのような手順で非核化を進め、何をもって非核化が行われたと見なすかはこれからの課題である。

 北朝鮮が速やかな非核化を進めていかなければならなくなるように、周辺国には確実な経済制裁の継続が求められる。 この点、中国や韓国に対して、目を光らせる必要があるかもしれない。 今後、日・米・韓のより緊密な連携が求められる。

2.北朝鮮の安全の保証
 非核化が行われてもいないのに、米韓合同軍事演習の中止や北朝鮮の安全の保証などが約束されるのはおかしいという話もあるが、これも時期は明示されておらず、非核化が行われてからの話である。 米韓合同軍事演習の必要がないと認識すれば中止にするし、北朝鮮の安全の保証をしても良いと確認できるようになれば保証するということである。

3.人権問題
 日本人拉致問題への言及がなかったことに関しては、これは基本的に日・朝の問題なので、米朝共同声明などでことさら話すようなことではないというだけのことである。 日本政府は、堂々と拉致被害者の返還要求をすればよい。 今度は、トランプ大統領の念押しがあるので、北朝鮮は解決済みなどとは言ってこないだろう。

 戦没米兵遺骨の収集は当然として、政治犯収容所の取扱に関しても適切な措置を要求することになろう。 でなければ、平和と繁栄を求めることはできない。 これらが実現されて、初めて経済制裁が解除され、韓国と同様な米朝経済活動がなされ、北朝鮮経済が繁栄することになり、北朝鮮の安全と繁栄が保証される。

 これらを中途半端に実施しようとした場合、自身が米国または北朝鮮国民から抹殺される可能性があることの覚悟を持って、金正恩委員長はことにあたる必要があるだろう。 ところで、中国はこの北朝鮮の民主化や経済繁栄を望むだろうか。 中国の横やりを懸念する。


―2018.6.13―