政務活動費の不正受給について考える

Last-modified: Wed, 07 Nov 2018 17:37:22 JST (2019d)
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 地方議会において、政務活動費の不正受給が相次いで発覚しているようである。 それにより、不正受給した地方議員は議員辞職したり刑事告発されたりしている。 不正受給した議員が、このような責めを負うのは当然だとして、他の議員には問題ないのだろうかと思ってしまう。

 また、それほどのチェックもせずに、言われるままに事務処理をしていた議会事務局などには何の責任もないのだろうか。 彼らの怠慢こそが、このような不正を増長させた張本人ではないだろうか。
 彼らの言い訳は、およそ想像できる。
・性善説で行ってきたので、まさか、議員が不正をするとは想定外だった。
・チェックしようにも人手が足りずできなかった。
・議員の不正を指摘するなど立場上できなかった。

 問題点を転化させる事に長けている彼らのことだから、他にもいろいろできない理由を挙げてくるだろう。
・以前、兵庫県議の政務活動費不正が発覚したあとも、性善説のままで良いと本当に言えたのか。 事務局側も何らかの疑惑を感じていたのではないのか。 もっと言えば、政治家の不正を黙認していたのではないのか。

・人手が足りないと言っても、増員要求をしたのか。 増員されたらチェックしていたのか。 全件のチェックはできないとしても、抜き打ちチェックなど少しでもチェックを試みたのか。

・政治家の不正を正せないとすれば、組織や教育なり人事の問題ということになる。 そのようなミッションなり、教育なりがなされていたのかが、組織としての課題となる。

 いつも思うのだが、政治家だけが責められ、公務員はまったく責任を問われることがないのは、いかがなものだろうか。 一人や二人程度の不正の発覚であれば、その議員のみを責めるだけで済むかもしれないが、このように多発している現状においては、問題の原因となる具体的担当者あるいは歴代監督部門長の責任が問われるべきと考える。
 以前にも述べたが、個人が責任を取らず、互いに傷を舐め合っているような組織では、反省や改革はできない。

 一部自治体はすでに実施しているかもしれないが、不正防止の対応策の一つとして、条例で決められた政務活動費の対象範囲などと同時に、政務活動費の使途や領収書をインターネット上に公開することの義務付けを提案する。

 議会事務局側などによるサンプリングチェックも行っていただきたいが、具体的使徒状況の公開を行えるよう、総務省からも全自治体に指導を行っていただきたい。

 この公開には、いくつかの効果が期待できると考えている。
・各会派・議員の活動状況のアピールになる。
・不正はもちろん、疑惑を持たれるような使途が抑制される。
・情報公開請求者は個人情報の提供をする必要がなくなる。

 インターネット上での公開には、いくらかの課題もあるかもしれない。
・インターネット上での公開には、インフラ整備の課題や公開者のICTリテラシーの課題などが予想されるが、各自治体や地方議員にできるだけ負荷を掛けないように、総務省より指導していただきたい。
・自分で公開できる会派・議員は自ら実施すればよいし、できない会派・議員は自治体が指導・協力するということで良いと考える。
・公開にはそれなりに負荷は掛かると想像されるが、基本的に透明性の確保が謳われており、税金を使うわけだから、ある程度の公開負荷は当然負う必要があると考えるべきである。

 政務活動費の公開は、義務と考えるのではなく、政治活動のアピールの場としての権利であると前向きにとらえて欲しいものである。


―2016.10.1―