日本相撲協会に対するマスメディアの対応について

Last-modified: Sun, 21 Oct 2018 14:51:45 JST (2036d)
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 日本相撲協会は2018年3月29日、暴行した弟子の貴公俊への監督責任を問い貴乃花親方に2階級の降格処分を下したそうである。 年寄総会での親方たちの厳しい意見や協会全体が暴力根絶に取り組んでいるさなかに起こした暴力事件であることを重要視して、先例より重い処分になったそうである。

 親方たちの厳しい意見を重い処分の理由に挙げるということは、協会は法治主義ではなく、中国や韓国のような人治主義であることを公式に宣言していることになる。 協会執行部が人格者の集まりであれば、人治主義も悪くはないとは思うが、公益財団法人にどうどうと宣言されると抵抗を感じてしまう。
 また、暴力根絶取組のさなかの事件であることを重要視するのであれば、理事長や危機管理部長たちも同様の重い処分を受ける必要があるのではないだろうか。

 これではまるで、協会による貴乃花親方への集団いじめである。 昨年、貴ノ岩関が日馬富士らに集団リンチ(いじめ)を受けた。 そのことを貴乃花親方が問題視しようとして警察に届けたら、逆にその貴乃花親方が協会から集団いじめを受けることになり、そのことをマスメディアや内閣府に助けを求めようとしたが、自分の弟子までもが攻撃され、すべてを断念せざるを得なくなったのであろう。

 これは、学校のいじめ問題に当てはめれば、生徒・いじめグループ・教師・校長/理事長・警察・教育委員会/文科省の関係と同様の構図である。
 そう言えば、他にも似たような構図があった。
 伊調馨・栄和人・コーチ・日本レスリング協会/至学館大学・内閣府
 小保方晴子・若山照彦・笹井芳樹・理化学研究所/日本再生医療学会?・文部科学省

 貴乃花親方の対応には、確かに多くの問題点があったのだろう。 しかし、事の本質は、協会執行部の閉鎖主義などの問題点の認識と改善ではないのだろうか。 あるマスメディアの報道によると、貴乃花親方への処分は、貴乃花親方の立場も考え、協会内部の批判や国民・ファンへの配慮もなされた、絶妙なものだそうだ。 おそらく、八角理事長は、周りへの配慮を得意とした優秀な政治屋として、理事長まで上り詰めた方なのだろうと想像する。

 マスメディアのコントロールなどお手のものなのだろう。 ちなみに、鳥取県警も日馬富士の単独犯として処理しようとしているらしい。 警察対応も完璧のようだ。 最近、満員御礼が続いているそうだが、よからぬ組織との癒着による成果でないことを祈る。

 真偽のほどは定かではないが、聴くところによると日本相撲協会に批判的な態度を取った記者は協会への取材はできなくなるそうである。 そういえば、昨年は貴乃花親方側に立とうとした報道も見られたような気がするが、近頃は貴乃花を擁護するようなマスメディアは見当たらなくなったような気がする。 マスメディアの協会への対応は、中国や韓国同様か、あるいはそれ以下ではないだろうか。

 協会に無断でマスメディアに応じて協会の問題点を話したことが降格の理由の一つだそうだ。 悪口を言われた協会側の気持ちも分からないわけではないが、この手の話は一般的にマスメディアとしては看過できない事案だと思慮するが、問題にしているという話は知らない。

 「日馬富士暴行問題」というマスメディア表現にも疑問を感じる。 正しくは「貴ノ岩関暴行問題」ではないだろうか。 「日馬富士暴行問題」には、日馬富士だけが悪いという、トカゲのしっぽ切りをうかがわせる意味合いが含まれている。 「貴ノ岩関暴行問題」には、貴乃花部屋が被害者であることを前提としている。
 投稿者は、日馬富士関が辞めるべきだったとは必ずしも思ってはいない。 以前にも書いたが、暴行事件への協会の対応は正しかったのか、日馬富士関の他の共犯者について、うやむやになっていないかと言いたいのである。 政治記者だけなのかもしれないが、日本のマスメディアは強者である与党批判をすることを旨とし、少数意見である野党を過剰に重用する傾向がある。 なぜか日本相撲協会に対しては、そうはならないようである。

 「協会内でクーデターを起こして敗れたのだから、協会を去るべきだ」と言う方がいた。 以前にも書いたが、これは「公益通報者保護法」を知らない方の発言だと想像する。
 「内閣府へ提出した告発状を弟子の暴力で取り下げるというのは、一貫性に欠ける」という方もいた。 確かに、「泣いて馬謖を斬る」方法もあったかもしれないが、これは「いじめ」であり、弟子の将来がかかっているのであり、涙の決断であることを分かってあげてほしい。

 告訴状を取り下げられた内閣府は今後具体的にどうするのだろうか。 貴乃花親方が、組織内部からの脅迫により取り下げざるを得ない状況に置かれたと見るのが一般的ではないだろうか。 告訴状の詳細を知っているわけではないが、なぜ取り下げなければならなかったのかを調査することも含め、内閣府は、貴乃花親方の告訴状とは別に、協会の暴力問題等に対して、単なる情報収集ではなく、協会の対応の仕方に積極的にメスを入れる必要があるのではないだろうか。 貴乃花親方の処分の是非というより、今後の協会のあり方が問われていると思慮する。 今後の、内閣府やマスメディアの協会への対応に期待したい。

 先場所は横綱鶴竜関が優勝し、一人横綱の責任をまっとうした。 まずは、おめでとうと言い、労をねぎらう必要があると思う。
 しかし、いじわるく言えば、貴乃花部屋の貴景勝関戦ではビデオで見る限り横綱鶴竜関の足が土俵の外で砂を蹴っており、負けている試合を勝ちにしてもらっている。 また、関脇御嶽海関と戦うべきところを、成績優秀者とは言え、本来戦う必要のない、下位力士の魁聖関と戦わせている。 上位と戦わない者に優勝されては困るということであれば、事前に関脇か大関あたりと戦わせるのが順序ではないだろうか。 このような協会側の支援?を得ての、13勝2敗の優勝である。 横綱鶴竜関を褒めるというより、両大関の不甲斐なさが目立った場所だったのかもしれない。


―2018.4.2―