賛成の立場から消費増税について考えてみる

Last-modified: Wed, 07 Nov 2018 18:18:13 JST (2019d)
Top > 賛成の立場から消費増税について考えてみる

 安倍政権がまたもや消費増税を見送った。
 以前、投稿したように安倍政権には、もともと消費増税する気がなかったのだろう。

 消費増税をすると長期間予告することによって景気の低迷を招き、消費増税をしないことによって財政再建にも寄与しないので、最悪のシナリオではないかと考える。 消費増税をしないなら最初からしないと宣言して景気を刺激する必要があるし、消費増税を肯定し実施するのであれば、確実に実施する必要があると考える。

 ところで、消費増税とは何だろう。 消費増税とは消費税率の向上による税収増を狙うことだと想像するが、消費税率を上げたからといって税収が単純に増えるとは思えない。 この投稿では、消費増税を単に消費税のみに関しての増収を狙うこととして話を進める。

 増税を狙って税率を上げて短期的に税収が増えたとしても、他の税収が減り、結局政府の税収全体は増えることはない。
 どうせ、税収が増えないのであれば、消費税は低い方がよい。 財政再建をするためには、政府支出を減らすか、景気浮揚させて税収を増やすが、その両方を実施するかが、本筋だと考える。

 このことを踏まえて、消費増税を主体とした税制の見直しを提案する。
(1)消費税(付加価値税)率を10%の課税とする。
 ・軽減税率は一切設けない
 ・預金利息や株式の売買益など、すべての法人の収入に対し一律10%を適用する。
(2)個人所得税・法人税をゼロにし、徴収しない。
(3)消費増税対応など、低所得者保護体系を見直す。
 ・働かざるもの食うべからずを原則とする。
 ・低所得者だからといって、無償の対応はしない。
 ・低所得者保護に家族の概念を入れ、家族の総所得で判断する。

1.消費税10%
・軽減税率などを排することによって、単純な計算しやすい税制になる。
・消費増税によって観光客など外国人からも税金を徴収できる。
・法人による海外送金については何らかの国内消費の対価と解釈し、消費税課税対象とし、過少売上等による海外送金を抑制する。

2.個人所得税・法人税ゼロ
・個人や企業は複雑な所得申告などの必要がなくなり、税務署申告が極度に簡素化される。 税務監査も法人売上と仕入のみに焦点を当てて監査すればよくなり、税務署経費が簡素化できる。
・合法・非合法を問わず、節税対策の意味がなくなる。 税制の単純化により、脱税に対しては厳しい処置を行える。
・無税化することにより、外国企業や外国人居住の誘致が促進される。

3.低所得者対応
・働けるのに働き先を見つけられない者に対しては、自治体や国などが働き口を提供し保護することにより、働く意志のない者への過剰な保護や悪徳業者への横流しを防げ、働くことの喜びを提供できる。
・無償にしないことにより、無駄な消費を抑制できる。
・税制に家族の概念を入れ、家族のつながりを醸成できる。

 消費憎税が景気に悪影響を与えるのは、他税制をそのままにして単に消費増税のみを行おうとするからである。 景気浮揚のための大胆な税制見直しの一環として、消費憎税を捉えればまったく別の結果が現れてくると考える。

 景気浮揚策としての税制を構築し、短期的に減税することによって景気浮揚させ、その結果としての税収増を目指したらと考える。 日本共産党は、金持ち優遇税制と批判するだろうが、金持ちにはどんどん稼いでもらって、消費税を払っていただければよいと考える。 一般人は、まじめに働いて、それなりの生活ができればそれで良しとする。 金持ちが羨ましいと考える人は、一生懸命に頑張って金持ちを目指せばよいことであり、それらの生き方は個人の自由である。

 ちなみに、この投稿での消費税(付加価値税)の捉え方を以下に示す。
・消費税とは、多段階、一般消費税の法人による間接徴収を指す。
・間接徴収とは、消費税を消費者から直接徴収するのではなく、法人から消費税を間接的に徴収することを指す。
・一般消費税とは、贅沢品など特別なものに課税する個別消費税に対して、サービスを含むすべての消費に課税することを指す。
・多段階とは、特定時点でまとめて消費税を徴収する単段階徴収ではなく、すべての法人でのそれぞれの売上に対して消費税を都度徴収する方式を指す。 仕入れには消費税がすでに含まれているので、売上から仕入れ分を差し引いた分のみが実質的な課税対象となる。
・課税対象法人は、年間売上 2000万円以上辺りが妥当だろうか。(要検討) この場合、年間収入が2000万円以上の個人についても個人事業主として課税対象とする。

 消費税率10%が妥当かどうかは厳密に計算したわけではない。 単に分かりやすいというだけの数字なので、これを当提案の反対理由にして欲しくはない。
 また、法人税・個人所得税の定義やその他の税については、論じていないので、実際の適用時には、それらを含めた総合的な税制の見直しが必要だと考える。
 小さな政府を前提としているので、公務員等の雇用対策なども、並行して検討していく必要がある。

 税制見直しの基本的な考え方を改めて示す。
・例外をつくらない単純な税制とし、徴収経費の削減を図る。
・日本で所得のあるものだけでなく、日本で消費するすべての人・法人に課税し、税収増を図る。
・生活保護者に対しては、弱者に応じた保護を行い、生活保護者の尊厳を犯したり、働く意欲を削ぐことがないよう心掛ける。


―2016.6.20―